PCで音楽制作R その1

☆MIDIデータの基本的なパラメータ

MIDIを始めたことが知られてから、「俺も楽譜を入力したいなー」とか、 「楽譜が読めれば打ち込みができるのになー」という声がちらほら聞こえる ようになりました。

でも、ちょっと待ってください。楽譜の通りに入力したデータは、美しい演 奏とは別 物なんです。そこで、今回はエンジニア向けに、打ち込みの手法に ついて説明してみようと思います。

音は「時間軸、周波数、音の強さ」で表わすことができます。楽譜に音符で 書かれているのは、実際の演奏と比較してごく基本的な情報だけなのです。 MIDI制作ソフトでは、おおむね次の形式で表されます。

開始時刻(小節、拍、ティック)、音程、強さ(ベロシティ)、長さ

それでは、左側に音符の生データ、右側にアレンジ例を示します。

開始        音程 強さ 長さ    開始        音程 強さ 長さ(四分音符=120)
48:01:000    E5  100    90    48:01:000    E5  110    78
48:01:090    F#5 100    90    48:01:090    F#5  95    36
48:02:060    B4  100 2:060    48:02:060    B4   95 2:050
49:01:000    E5  100    90    49:01:000    E5  110    80
49:01:090    F#5 100    90    49:01:090    F#5  95    34
49:02:060    B4  100 1:000    49:02:060    B4  100    78
49:03:060    A4  100 1:060    49:03:060    A4   85 1:050

楽譜の音符には、強さに関する数値情報はありません。演奏表現を指示する 記号や言葉が書かれることがありますが、具体的な数値はありません。それ ぞれの音符をどの程度の強さで演奏するかは演奏者が判断したり、指揮者や アレンジャーが指示するものなのです。

長さも同様で、音符の形状で「拍」を基準とした長さ情報が指定されます。 左側で90とある「付点8分音符」は90ティック(四分音符の75%)ですが、実際 には右側にあるように演奏時の長さはばらばらになります。

開始時刻は上の例では拍を基準に揃っていますが、これは機械的な演奏の例 です。生演奏や、生演奏っぽく作ったデータは、右側のように揃いません。

開始         音程 強さ 長さ     開始         音程 強さ 長さ(四分音符=120)
56:01:000    F#6  100  1:060   <55:04:113>   F#6  100 <1:066>
56:02:060    C#6  100     60   <56:02:059>   C#6  <90>   <61>
56:03:000    D6   100     60    56:03:000    D6   <90>    60
56:03:060    A6   100  1:060   <56:03:059>   A6   <98> 1:060
57:01:000    B5   100  4:000   <57:01:002>   B5   <90> 4:000

楽譜と望ましいデータの間には、たいてい数%程度の違いしかないのですが、 その数%を適切に決めることがMIDI打ち込み作業のポイントです。数%の違い で良し悪しが分かれるのは工業製品でも同じだと思います。(つづく)

注: この記事では、Last regrets(作詞・作曲・著作権者: Key)の楽曲を耳コピして制作したMIDIデータの複数のバージョンを引用しています。


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