PCで音楽制作R その3

☆パラメータの作り込み方(続き)

・長さ……音を伸ばす時間

音を伸ばす時間について、「スタッカートは短く50%位、ふつうなら95%位、 スラーは100%」という説を聞くこともありますが、実際にはそのように単純 なケースはありません。楽器によっても異なりますし、ジャンルや曲想でも 異なります。

メロディアスな部分では、フレーズを基準に考えます。フレーズの切れ目で は無音時間が長めになりますし、フレーズ内で強調する音を短めにする場合、 逆に長めにする場合があります。リズミカルな部分では、前者よりも短めに なる場合が多いようです。

 9:01:000 B5  105 2:000  ←このパートは音符の100%長で演奏する
 9:03:000 C#6 100 1:000
 9:04:000 D6  100   112 ←フレーズの最後(1:000 = 120 より 8 短い)
10:01:000 E5  127    90  ←次のフレーズの先頭
10:01:090 F#5 120    90
10:02:060 B4  100 4:060

・強さ……ベロシティ

音の強さについて、「強弱強弱」や「シンコペショーン: 弱強弱弱」といっ た教科書的な説明を聞くことがありますが、その通 りに演奏データに載せる わけでもありません。上と同じように、フレーズで考えたり、リズムで考え るのが基本ですが、さらに音色の特性も考えなければなりません。

一つの楽器について、ある音程で鳴らした音と、別の音程で鳴らした音は、 同じ強さの値でも聞こえ方が異なります。生楽器の場合は、物理的な構造上、 音が変わるのは当然ですが、MIDI機器でも考慮する必要があります。理想的 な音源では、どの音程も同じ音量 で反映しそうなものですが、実際に聞いて みると異なります。MIDI機器がそのような設計を織り込んでいるのか、音源 の基となる波形データを指定の周波数に変換するリサンプリング等の影響で 微妙に音色や音量 が変わるのか、アナログ回路の特性等の影響か、あるいは 人間の耳の特性の不均一さが原因かはわかりません。結局のところ、実際に 自分の耳で聞いた結果を信じて作業するしかありません。

2:01:000  E6   100 1:000 ←ベロシティーが同じ値でも別の音程では
2:02:000  F#6  100 1:000   異なる音量で聞こえる場合がある

さらに、複数の楽器が同時に演奏する場合は、音の倍音成分が重なる影響で、 音の強さが変わることがあります。別 の楽器で同じ音階を演奏する場合や、 同じ楽器でもオクターブが異なる音を出す場合に、高い音が予想外に大きく 聞こえる場合があります。また、ドラムやパーカッションの影響で同じ現象 が起きる場合もあります。ですから、実際に演奏する音を聞きながら、適切 なバランスになるように、大きく聞こえる楽器の音を小さく補正します。

2:01:000 CH3  E5  100 1:000 ←次行の音と同時に鳴るため大きく聞こえる
2:01:000 CH5  E4   90 1:000
2:02:000 CH3  F#5 100 1:000

この他に、音色を変更しても(例えばピアノからフルートに)、音の大きさの 状況が全く変わってしまいます。ですから、重要なパートの音色を変更した 場合は、そのパートの全ての音符の強さの値を付け直すことがあります。 それだけで1〜3時間ほどかかることもあります。(つづく)

注: この記事では、Last regrets(作詞・作曲・著作権者: Key)の楽曲を耳コピして制作したMIDIデータの複数のバージョンを引用しています。


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